最近朝に見える月の事を何ていうんだろう?と色々調べてたんですが、意外にネットには出てこなくて勝手に名前を付けてしまおうかなとか考えていた。
なぜそんなどうでもいい事を考えたかというと、今回紹介する林正樹さんの音楽を聴くと朝に見える月を見た時の感情に近いものを感じるからだ。
どんな感情かというと、皆仕事や通学などで足早に街を歩いている中、自分は朝から月を見ている。とても特別で贅沢な気分になる。
夜の月に比べて決して華やかではないが、朝空に薄らと浮かぶ月は嫌味な自己主張がなく、ただそこにいる。
前回の記事でも書いたかもしれないが、「ただそこにある」という感覚が好きなのかもしれない。
ただそこにあるとは、調和が取れていないと成立しない。
林正樹さんの音も正にそこにいる。
抽象的すぎて何をいっているか分からないかもしれないが、自己主張とかそう言ったエゴイスティックな音楽ではなくて、調和をすごく大切にしているように感じるのだ。
思いやりだったり、優しさがイコール良い音楽かというとそうでは無いが、作者の人格は音に宿るものだと確信している。
コードがどうだとか、スケールがどうだとか音楽的知識の話よりも、それを創作した人格に興味を持ってしまう。
もちろん会ったこともなければ、話したことも無いわけだが、想像するとまた音が違って聴こえることもあるのだ。
↑書き終わった後に「とはいえどこかで会ったような気がするな・・・」と思ったら、一度市川愛ちゃんのライブの撮影で撮らせていただいたことがありました、、大変失礼いたしました。
Ai Ichikawa – Originals 【 Works 】
本当は曲の構成がどうだとか、和声がどうだとか、専門的なお話をした方が評論ぽいんですが、この音を聴くとどんな気持ちになるのか、今日一日をどう過ごせるのか、そう言った事を伝えていきたいと思ってします。
アルバムSpectrumの一曲に、「月ぬ美しゃ」という沖縄民謡のカバー曲が収録されている。
月ぬ美しゃの一部の歌詞に月について触れている素敵なフレーズがある。
〈月が最も美しい一三夜―――まだ満ちていない頃〉
みやらびかいしゃ とおななつ
女童美しゃ 十七ツ
〈乙女が最も美しい一七歳―――まだ成熟していない頃〉
もしかすると、林正樹さんも煌々と輝く月ではなく、満ちていない月や、朝空に見える月が美しいと思っているのかもしれない。
音楽を読み解くことは、人格を想像すること。今回改めてそれを感じることができました。
ぜひ、林正樹さんの音に、人格に触れていただけたらと思います。