前評判の高かったアキ・カウリスマキ氏の新作「枯れ葉」を渋谷ユーロスペースにて鑑賞。
労働者3部作『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』に連なる新たな物語として発表された『枯れ葉』には、ギリギリの生活を送りながらも、生きる喜びと人間としての誇りを失わずにいる労働者たちの日常が描かれる。
フィンランド・ヘルシンキが物語の舞台。個人的にオシャレでカラフルなイメージがあったフィンランドだが(おそらくマリメッコの影響)、静かで冷たい印象を感じたフレームワーク。ただ、アルマ・ポウスティ演じる主人公の部屋や途中出てくるジュークボックスがある酒場など、ノスタルジックあふれる映像がとても印象的だった。
昔からジェットコースター的な恋愛群像劇がとても苦手だった。枯れ葉は、特に派手な出来事が起こるわけでもなく、淡々と現実によりそった物語で、愛情を重ねていく。
日常の中にある小さな愛情を拾い集めていくような物語は、個人的にとても感銘を受けた。
余裕のない生活、労働環境も厳しいなか、一つ一つ確実にこなしていくヒロインの強い姿に心打たれた。心惹かれる男に対しても、ダメなことはダメだと一蹴するシーンはとてもよかった。
映画を見た日の夜に行ったBarの方とアキ・カウリスマキの話になり、昔レニングラード・カウボーイズのイベントをCLUB QUATTROでやったことがあるという貴重なお話を伺った。
映画は見終わった後にそれについて誰かと話をし理解を深めたり、違った視点をあたえてもらったりなど、意見を交わして議論することが醍醐味だったりもする。
作品の断片を拾い集め、お互いの想像した世界を話しあい、さらに想像力を鍛える。
想像力なき社会活動は、ほんと良いことがない、、。
弱者に対して、自己責任で片付けるのか、明日は我が身と捉えるかで、現実社会も少しずつ変わってくると信じている。
想像力を掻き立て、自分にとって大切な人たちと語り合うには絶好の作品ではないだろうか。
年末年始は、U-NEXTでアキ・カウリスマキ作品を見漁る算段だ。