「礼儀作法入門」 山口瞳 。

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昭和の文豪 「山口 瞳」。山口瞳に限らず、開高 健や池波 正太郎など、この時代の小説家は皆、粋というか、色気がある。

そんな粋なオトナが考える「礼儀作法入門

言うまでもなく形式張った礼儀作法ではなく、「どうしたら人の迷惑にならないのか?」「どうしたら美しく立ち振る舞いができるのか?」といった、より実践的な内容となっている。

冒頭で、「礼儀作法とは何か。もう一度、振り出しにもどって考えてみる時に、私には、どうしても「他人に迷惑をかけない」という一条が浮かび上がってくる。「他人に迷惑をかけない」というときに、いろいろの事態が考えられるが、これを突き詰めてゆけば、あるいは、その最大なるものは「健康」ではないかと思われる。健康であることは、自分のためであり、他人のためである。」と始まる。

自分に置きかえて考えてみると、本当に反省しかないが、礼儀作法=健康は、至極真理をついているように思う。

自分を思いやること、それ即ち相手を思いやることにも繋がる。誰かの為にと思い、無理をすることは、回り回って、相手に迷惑をかけ、礼儀を知らないということにもなりかねない。

この他にも、酒の注ぎ方、箸の置き方、手紙の書き方、パートナーとの別れ方まで、様々な状況で参考になる助言ばかりちりばめられている。

全てに共通して言えることは、「美しいことは正しい。」という考えが根幹にある。教科書通りの振る舞いをすることが、礼儀正しいということではない。それは一つの側面でしかなく、状況や相手によって礼儀は変わるものである。ただ、「美しい」という感覚は、普遍的なものであり、どのような状況下でも対応可能だ。

普段、自分が正しいと思っている行動が、実際には相手を不快な思いにさせてしまっているかもしれない。礼儀作法という、決まりきった無味乾燥な法則ではなく、本当の意味での「礼儀作法」を今一度整理する為に、非常に役立つ書籍だと思う。

お時間ある時にぜひ手に取って頂きたい一冊です。

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