ニコニコ超会議に行ってから、急に「希望の国のエクソダス」を読み返したくなった。
ニコニコ超会議で印象的だったのが小学生や中学生ぐらいの子供達の楽しそうな顔。その顔を見ながら、彼らの世代に受け入れられているニコ動のすごさを再確認したと同時に、村上龍氏の「希望の国のエクソダス」で描かれていた中学生たちの事をふと思い出した。
2000年に刊行されたこの作品を大まかに説明すると、オトナ達が作った「この国には何でもある。だが、希望だけがない。」社会に嫌気がさした全国の中学生が自らのスキルとアイディアで起業、死にかけていた日本経済を救う。
そして、北海道を拠点に自分たちオリジナルのsocietyを形成していく話。本当にざっくりなので、できれば一度読んでほしい。
2000年以前に執筆されたとは思えない程、現在の日本を彷彿とさせる刺激的な内容。本の中で中学生達がやっていた映像サービスなんて、Youtubeそのものだし。ちなみにYoutubeの設立は2004年。村上龍さんの幅広い知識とビジネスセンスに驚愕。
物語では、百万人ちかい中学生が集団不登校をし、一日に約百件の犯罪を行っているという異常な社会が描かれている。私たちが生活している現代の社会と言えば…先月警視庁から発表された就職活動失敗による自殺者が1000人を突破したというニュースが話題になった。はい、リアルな世界も十分異常です…。
自分も経験があるけど、何十社と不採用の通知をもらうと誰だって自分は社会に必要とされていないんだと感じると思う。
しかも、ご縁がなかったで片付けられてダメな理由がわからないから、改善しようもない。少し冷静になれば、就職できなくたって生きていけるってわかると思うけど、何度も落ちる事で次第に追い込まれて正気を失ってしまうんだろうな。
未だに一流大学に入って、大企業にはいると安定した生活が保証されると思っている学生は少なくないようで、私たちの世代もそのことを疑っていない人たちによく出くわす。それはそれでいいんだけど、その常識が子供達を苦しめているとしたら、「そんなことないんだよ。就職できなかったとしても幸せになれるし。」とオトナ達が伝える必要があると思う。
自分自身も会社員ではないから、会社員じゃなくても楽しく生きていけるよと伝えたい。また、就職がすべてにならないように、資本主義社会で生きていく為に必要な具体的な武器を子供達に教える必要があると思う。本の中では、Dスクールという無償の訓練施設を中学生達が設立する。言うまでもなく、現代の職業訓練所の様な短期的な中途半端なものではない。現実世界では、Liverty 家入さんが無償で寺小屋のような場所を全国各地で展開しようとしている。とても興味深いし、家入さんの行動力は本当にすごいと思う。
本の中の中学生たちは、ITの知識や自分たちの持っているコミュニティの力を活かして起業する。彼らにとっての起業とは、一攫千金でお金持ちになりたいといった90年代的欲求ではなくて、オトナ達が良しとしていることを鵜呑みにする事にリスクを感じ、安定な生活をおくる為に「起業」するといったミュアンスが含まれていると勝手に解釈している。
起業というとdead or alive的な発想をする人が多いけど、そういった側面ばかりでもないし、リスクヘッジとしての「起業」といった考え方もあると思う。
個人的に起業・独立を選択し、結果的に失敗したとしてもそこで得た経験は何物にも代え難い貴重なものだと思う。それは、企業で会社員として働いているだけでは決して得られ無い経験で、例えば、経営者的なお金の考え方が身に付いたり、危機管理能力が身に付いたり。結構プラスになることが多い。無責任かもしれないけど、若いうちにどんどんチャレンジするべきだと思うし、就職できなかったとしても、就職しない道もあるから死なないでほしいと思う。
話しがまとまらなくなってきたけど…希望の国のエクソダスは現実化するか?というよりは現実化してほしい。ニコ超に参加してみて、若い世代の人たちのフットワークの軽さにすごく驚いたし、反省した。もう自分はおじさんだな〜って憂愁に閉ざされました(笑)
一部分だけ見て、それを一般化するようなことは言いたくないけど、少なくとも会場で見かけた若い世代の人たちは、自分らの世代にはない素晴らしい感覚を持ってるんだな〜と感じた。
媚を売ってるんじゃなくて、単純に羨ましい。
マイクロソフト創業時ビルゲイツは19歳。
Facebook創業時マークザッカーバーグは19歳。
アップル創業時スティーブジョブスは21歳。
ニコ厨から上記のような偉人が生まれる日もそう遠くはないかも。 おじさんたちも若者世代に負けじとがんばりますか!!