こんにちは。
友人でもあり、お仕事でも御手伝いさせて頂いているsingerのJIINOくんのnew songの紹介です。
アーティストとしてJIINOくんのことを尊敬しているとともに、人間的にもとても魅力的な人。
早く売れて武道館に招待してください。笑
この曲にまつわる話もあったようでそれも共有したいと思います。
JIINO『Hero』
アメリカで初めて人前でステージに立ったのは、ミネアポリスの町外れのブルースバーでのセッションだった。数々の有名人がPLAYしている、ミネアポリスではNo.1のブルースバーだった。
体育館みたいに大きな木造のバーで治安の悪さもNo.1だったのも覚えている。車から降りる時ですらビクビクしていた。
初ステージ、少し緊張していたが、何故か自信だけはあったので、ステージに上がるなり、偉そうに「B.BKINGのTHRILL IS GONE やるぞ!! お前ら俺について来い」くらいの勢いで歌いはじめた。
自信とは相反してまだ実力も大してなく、アジア人だった事もあり、演奏中にいきなりバンマスが凄い形相で俺に寄って来た。「この曲終わったらステージ下りろ」といきなり荒めの洗礼を受けた。
富士山程の大きな自信はアメリカ製の1セントまでになってしまった。
プロのミュージシャン達は皆トカゲの様な冷たい目で俺を見ていた。あまりにも悔しかったので、俺を引きずり下ろした一番ギターが上手かった奴のPLAYを盗むために余裕な振りをしながらビールを呑みはじめた。正直今すぐにでも帰りたかったが、1時間くらい1人でいただろうか・・・
すると1人の黒人サックスプレイヤーが寄ってきた。もう60歳を軽く超えているだろうか?
SAM「元気か?」
まるで ルイ・アームストロングの様なしゃがれた優しい声で話しはじめた。
俺「元気なわけないだろ、さっきのステージ見ただろ?」
SAM「まあ1杯飲めよ」といきなりビールをおごってくれた。
すると彼は優しい声で、「お前のプレー凄く良かったぞ! 落ち込む必要は1ミリもない」俺「落ち込んでねえよ」と言いながらも一瞬にして包み込まれたのを覚えている。
SAM「絶対に自分が駄目なんて思うな! お前は必ずいいプレイヤーになるから、堂々と胸をはれ」
俺 「・・・・・」
SAM「俺がお前の歳の頃はまだ差別が今より酷く、白人と同じ場所で飲み食いも出来なかったんだぜ。自分の国で何でそんな差別受けなきゃいけねえんだよ? 俺の家は金も有ったわけじゃ無いから、そりゃ~ハードな人生だったよ」
と笑いながら俺の知らないアメリカの “カラー” を教えてくれた。SAM「このバーだと、俺は長老だから何かあったら俺に言え。いつでも力になる」
俺「ありがとう」
SAM「もう一度言うが、絶対に自分を駄目だと思うな! お前は必ず最高のプレイヤーになる! お前は絶対にスターになる素質がある。俺はもうおっさんだからスターはちょっと厳しいけどお前さんのヒーローくらいになりたいもんだね」
照れ笑いしながら 僕の魂に大きなプレゼントしてくれた。
SAM「お前が今感じている感覚、お前が今いる場所 お前が思うことそれは全て正しい事なんだ。だから今を生きて 正しい事して歩け そして仲間と笑え」
半年間、毎日8時間のギター練習の後 再び同じブルースバーでリベンジ。
俺のソロが終わると俺を引きずり下ろしたあのギタープレーヤーがまだ演奏中にもかかわらずまた俺に寄ってきた。ギタープレイヤー「最高のソロだったよ」
不器用な顔つきで握手をしてくれた。後ろにいたSAMをみると 俺に軽くウインク。
今考えるとあの夜がはじめて自分に勝った瞬間だったな~。
SAM! あなたから自分を信じるというとても大切なプレゼントを頂きました。
俺もいつかそんなHEROになれるように胸を張って歌い続けて行きます。ありがとう
by JIINO