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多くの企業や自治体から関心を集めている SDGs (持続可能な開発目標)。皆さんも一度は目にしたことがあるのではないいでしょうか。
何となく環境問題についての取り組むべき課題?食料問題とか?程度の知識だったので、今後の仕事に何か役立つヒントがあるかもしれないと思い、SDGs入門 (日経文庫)を手に取りました。
実際のビジネスの場においての具体例なども知りたいといった目的がありました。
SDGs (エスディージーズ)とは?
Sustainable Development Goalsの頭文字をとった略称SDGs。
2015年に国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文章中に存在します。
簡単にいうと世界全体で抱えている課題(貧困や飢餓、ジェンダーの問題、自然災害など)を西暦2030年までに持続可能な戦略を打ち立て、解決していきましょう!といった内容になっています。
持続可能な戦略?となりますよね。
持続可能な戦略、開発とは「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」を指すと作中で示されています。
電気や水道といった生活インフラが整っていないより、開発され整っていた方が良いし、病気になった時、近所に病院や薬局がないよりは、開発され病気を治せる方が誰もが良いことだと感じる訳で。
ただ、どんな開発でも良いということではなく、未来永劫持続できるものでないといけないといった事が非常に重要とされています。
このSDGsには、具体的に17の目標が掲げられており、17の目標をさらに細分化した169のターゲットも作られています。
SDGs入門では、この169のターゲットは、企業にとって取り組みのヒントとなる宝の山だと筆者はいっています。
1.貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
2.飢餓をゼロ
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
3.すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
4.質の高い教育をみんなに
すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
5.ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
6.安全な水とトイレを世界中に
すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネ ルギーへのアクセスを確保する
8.働きがいも経済成長も
すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る
10.人や国の不平等をなくそう
国内および国家間の格差を是正する
11.住み続けられるまちづくりを
都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする
12.つくる責任 つかう責任
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
13.気候変動に具体的な対策を
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
14.海の豊かさを守ろう
海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
15.陸の豊かさも守ろう
陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
16.平和と公正をすべての人に
持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
17.パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
ビジネスとSDGsとの関わり
本書を手に取った目的でもあるビジネスにどう活用するのか?についてです。
企業とSDGsの関係において、SDGsには取り組むべき3つの魅力があるといっています。
①新規事業開発、事業拡大に繋がるヒントがある
現状の日本企業のまずい状況の一つとして、内部留保されている現金の使い道を見つけられていない企業が多い事を指摘されています。
新たな事業の開発や、既存事業をどう広げていくのかを考える際に、SDGsがヒントになる可能性が高いとしています。
また、個人的にこれは使えるかもしれないと感じたのが、SDGsを通じて、今後企業の「やるべきコト」が見えてくると上記で触れましたが、反対に「やらないコト、やるべきでないコト」も見つける事ができる事です。
新規事業内容を考える際に、SDGsという指標がある事で、企業が守るべき責任を意識する事ができ、評判のリスク回避を可能にします。
②新たな人材獲得の為の武器になる
人手不足が騒がれる昨今、人材育成やリクルーティングなど「人」に資金や 時間を費やす企業も多くなっていると思います。
そんな中、朝日新聞社が行ったSDGs認知度調査にて、10〜30代といった若い世代の認知が増えていることをうかがわせるとしています。
少し短絡的な気もしますが、若い世代から企業見たときに、自分たちが生きていく未来への共感があるかどうかの企業姿勢が人材獲得、人材定着への鍵になると主張されています。
「生活のため」や「お金のため」だけが仕事の目的ではないので、社会のために自分が役立っているという感覚をSDGsの活動を通うじ感じ、自己肯定感が上がり、帰属性もアップする可能性はおおいにあるのではないかと個人的に感じました
③コミュニケーションツールとして有効
国連で採択された国際共通目標である「SDGs」というワードがムーブメントになりつつある昨今、社内、社外問わずコミュニケーションのテーマになることが今後益々増えていくと考えられます。
そういった状況に出くわした時に、 既にSDGsに積極的に取り組んでいる企業、見識を深めている企業にとっては、新規事業開発、事業拡大に繋がる絶好の場になる可能性を秘めています。
私個人としては、残念ながらまだSDGsをテーマとしたコミュニケーションをとったことはありませんが、私自身が今回興味を持ったように、多くの方々がSDGsについて見識を深めようとされていると思いますので、積極的にコミュニケーションツールとして使って行こうと思います。
SGDsの取り組みテーマの選択
最後の章に、17の目標、細分化した169のターゲットの中から日本で注目されている9つのテーマについて、実例を上げて詳しく共有してくれています。
実例については、どれもSDGsを体現されている鮮度の高い企業活動が紹介されているので、ぜひ直接手にとって活動のヒントにして頂いた方が良いかと思います。
9つのテーマだけ、記載しておきます。
- 女性の活躍
- 教育と職業訓練
- 健康と長寿の達成
- 安全で住みやすいまちづくり
- エネルギー利用やCO2の削減
- 持続可能な消費
- 海洋プラスチックごみの削減
- 森林や生態系の保護
- 科学技術、イノベーションの創出
SDGsの大枠を捉えるにはもってこいの入門書だと思いますので、興味のある方はぜひご一読ください。
今後もSDGsについいての見識を深めていきたいと思いますので、引き続き学習して、もっともっと読み応えのある記事にできたらなと思います。
日本経済新聞出版社
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