今年の6月に全国ロードショーする「私の男」。原作を知った上で、映画を見た方がいいと知人にアドバイスをもらったので、早速読んでみた。
簡単にあらすじを言ってしまうと、主人公の「竹中花」は、9歳の時に北海道南西沖地震で家族を亡くし、幼くして孤児になってしまった。
そこへ、遠い親戚の「腐野淳悟」が現れた。まだ25歳であった腐野淳悟は、花を養女にすることを決める。周囲の人々は、淳悟の若さと、彼の海上保安官という職業柄、花が家に一人でいる事が増える事を考え、「淳悟くんが、本当に子供をそだてられるのだろうか?」と心配した。
しかし、淳悟の「花を自分の手で育てたい。」といった熱意に負け、花を養女として迎える事を了承した。一見順調そうに見えた2人の生活だったが、実は血縁を超えたDeepな関係へと発展していった…。
簡単に言ってしまうと、近親相姦の話なんだけど、『屈折したエロス』と安易な解釈は避けるべきだと思う。
もちろん、一般的には許されない行為だけど、この本で描かれている淳悟と花の関係性を想像していると、何が「幸せな形」で、何が「不幸な形」なのか、それは誰が作ったルールなのだろうか?と疑問を持ってしまった。
人間は、実はからっぽで、血が流れるだけのタンク。頭で考えてる事なんて、本当は何の意味も無いんじゃないか、体が、血が感じるままに生きて行けば、それでいいんじゃないのか?とか。
色で例えるなら、常に灰色のフィルターがかかった様な情景。重くて、苦しくて、血の繋がりを思うと温かい気持ちにもなるが、それも一瞬の出来事。
歳を重ねるごとに、「この人から離れなければいけない。」という花の思いは強くなる。しかし、この人がいなくなれば、自分も生きていけなくなる事もわかっている…血の繋がりさえあれば、何をしてもいいのだともう一人の自分が言っている。それだけ、花にとって淳悟との「血の繋がり」は、何よりも大切な物。命よりも。
いや〜本当に心理描写が巧みで、妄想が止まらん。あの後、2人はどうなってしまったのだろうか…。
この作品を映像で表現するとなると、本当にどうなるか楽しみでしょうがない。腐野淳悟役を浅野忠信(
間違いないキャスティング!)、花役を二階堂ふみ(これまた、ナイスキャスティング!)。あの後の2人(特に淳悟)を映画版で追ってくれると、個人的には嬉しいな。
やっぱり、原作読んでから、映画見た方がいいと思う!!気になる方は、一読の価値ありですよ。